AI に伝わる書き方
進行条件も、画像の表示条件も、AI へのプロンプトも、書くときのコツは 1 つです。「いま AI が何を見ているか」に合わせて書く。AI が見ていない情報を前提に書くと、進まない・出ない・ズレる、のどれかが起きます。実際の会話でよく起きたつまずきを、直し方と並べます。
判定する AI は「そのターンのやり取り」しか見ていない
マイルストーンの 自動進行(storylet)の条件を判定する AI は、基本的に、直前のやり取りしか見ていません。そこから「条件を満たしたか」を判断します。会話全体を覚えていて総合評価しているわけではありません。 だから条件は、1 つの条件 = 1 つの事象で、会話文にそのまま現れる形で書くのが基本です。
いちばんの落とし穴が 「A して B する」という複合条件です。これは「A」と「B」が 同じターンの中に両方そろうまで成立しません。 実際の会話では A と B は別々のターンで起きることが多いので、条件がなかなか満たされず、進行が数ターン遅れます(実測で 4 ターン遅れた例があります)。
| ✗ 遅れる書き方 | ✓ すぐ進む書き方 |
|---|---|
| 「主人公が名を明かして、握手する」 | 「主人公が自分の名を告げた」(握手は別条件か、別フェーズに分ける) |
| 「相手を信用し、秘密を打ち明ける」 | 「主人公が秘密を打ち明けた」(信用は感情軸で測る) |
| 「そっと近づいて、手を握る」 | 「主人公が相手の手を握った」 |
複数の事象で進めたいなら、条件を 分けて並べます(storylet は複数条件のいずれかを満たせば進みます)。「両方そろって初めて進める」を作りたいときに限って、複合を意図して使ってください。
条件文の「形」が、表示・進行のタイミングを決める
インライン画像の表示条件でも、進行条件でも、条件文の形は「いつ成立させたいか」の宣言です。人の動作でも、場面・環境でも、原理は同じです。
- 瞬間形「〜した時」 = その一度きり。点火の瞬間の決め絵や、一度きりの転換点に。 例:「扉が開いた時」「覚悟を決めた時」。
- 継続形「〜している間」 = その状態が続くあいだ、成立し続ける。場面の常在物として出し続けたい絵や、 「この状況が続くうちは」の判定に。例:「たき火のそばにいる間」「二人が並んで歩いている間」。
よくある失敗が、高い頻度で出したい画像を「〜した時」で書いてしまうことです。これだと始まったターンにしか合致せず、 次のターンからは出なくなって途切れます。「その場面が続くあいだ出したい」なら継続形にします。継続形は、本文で状態が終わると (「火が消えた」「歩くのをやめた」)自然に成立しなくなるので、消し忘れも起きません。
場面が段階的に進むとき(近づく → 触れる → 抱き合う のような遷移)は、各段階を継続形で並べて隙間を埋めます(「近づいている間」「触れている間」「抱き合っている間」)。どこかの段階を書き落とすと、その区間で絵が消えます。
「合致しないターン」を減らす(カバレッジ)
特定の場面ばかりを条件にした札を並べると、その場面でない多くのターンでは どの条件にも合致せず、画像がほとんど出ません。 これを防ぐには、感情・表情の汎用札を混ぜます。
- 場面札(特定の行動・情景):ここぞという場面で出せる。数が少ないと合致しないターンが増える。
- 汎用札(笑顔・照れ・驚き・涙などの表情):どんな場面でもキャラの表情に合いやすく、底上げになる。
高い頻度で挿絵を出したいなら、汎用札は ほぼ必須です。場面札しか無いときと汎用札を足したときとで、絵の出るターンの割合が数倍変わります。
どこに書いたものが、誰に見えるか
「AI が見ていない情報を前提に書く」失敗を避けるには、各欄が誰に渡るかを押さえておくのが早道です。
| 書く場所 | キャラ(本文を書く AI)に見える? | 補足 |
|---|---|---|
| キャラ設定・世界観・関係性 | 見える | 常に前提として渡る。 |
| このフェーズで判明する事実 | 到達後に見える | 未到達フェーズの分は渡らない(ネタバレ防止)。 |
| 裏側で進んでいる事実(script_facts) | 見えない | 進行判定など内部処理にのみ使われる。キャラは知らない。 |
| 進行条件(storylet 等) | 本文には出ない | 進むかどうかを測る“ものさし”。セリフには現れない。 |
| 画像の表示条件 | 本文には出ない | どの絵を出すかの内部判断。表示範囲外の絵は名前ごと渡らない。 |
つまり、キャラに知ってほしくない仕込みは「裏側で進んでいる事実」へ、先にバラしたくない事実は「判明する事実」を後半フェーズにのみ書く。 進行条件や表示条件に書いた言葉は本文には出ないので、そこに「セリフのつもり」の文を書いても喋りません。
進行・演技・記録の使い分け
同じ「状態を扱う」でも、道具が 3 つに分かれています。狙いに合ったものを選ぶと、無理な書き方をせずに済みます。
- 物語を前へ進める → マイルストーンの進行条件(storylet)。「◯◯が起きたら次へ」。
- 演技の傾きを変える → 感情軸。信頼・緊張などの度合いで、同じ場面でも反応の色を変える。
- 物・状況を覚えておく → 状態シート(Info)。持ち物・場所・時間帯など「事実の記録」を残し、会話中に更新する。